2019夏の参院選

夏の参議院選挙が迫っている。俺は18歳で選挙権はあるが、引っ越して3か月たっていないので選挙人名簿に名前が載らず、今回の選挙では投票できない。しかし、政治や社会について考えるいい機会だし、次の選挙に備えて支持政党・候補者を選ぶプロセスを経験してみたいから、日本の政治についてこの記事で考えてみることにする。

 

アメリカにいた3年間日本の政治の動向をほとんど追ってなかったから、最近ニュースを気を付けて読むようにしているのだが、アメリカに行く前と日本に帰ってきた後で政治の風景が大きく違って見えることに気が付いた。

 

特に強く思ったことは、政党がとても多いことだ。日本に帰ってきたら、見慣れない政党名が多くあることに気づいた。俺がアメリカに渡る少し前に民主党が民進党になったが、民進党すらなくなっている。合併とか分裂とかが相次いで、立憲民主党や国民民主党に変わったようだ。それにしても党が多い。国会に議席を持つ政党は10個あるそうだ。

 

アメリカは2大政党制だから、共和党か民主党、つまり保守かリベラル、右か左を選べばよかった。もちろん、政治家一人一人で意見は違うから、党名でひとくくりにできるものではないが、それでも政党が少ない分議論がシンプルだった気がする。2つの党の政策を比較するのが簡単だからだ。ちなみに自分はどちらかというと民主党寄りだ。同性愛結婚や人工中絶は合法化されるべきだと思うし、政府は社会保障を充実させて格差を是正しなければならないと思うからだ。あまり深く考えたことはないが、このような点で民主党を支持する。

 

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2016年のアメリカ大統領選挙では、共和党のトランプ氏が当選した。

 

対して日本は文字通り十人十色、10個政党があれば政策は10個ある。すべてを比較して支持政党を決めるのは大変な作業だ。多くの争点に対する各党の公約を詳細まで分析して自分の支持政党を決めるというのは非現実的で、選挙があと1週間に迫っているというからなおさらだ。正直、多くの問題(消費税増税や憲法改正、原発など)に対しては何となく自分の意見はあるものの、深く考えたことはないし、選挙までに考える時間もない。だから、とりあえず自分が特に危機感を感じている課題一つを選んで、それについて深く考えることにしてみたい。

 

様々な社会問題がはびこる中で、俺が最も注目したいのは、社会保障だ。最近「2000万円問題」について知り、強い危機感を覚えた。老後の生活費が2000万円不足するとした金融庁の報告書に端を発するこの問題は、高齢者だけでなく、年金を払う側である労働者たちをも不安に陥れた。まあ、2000万円不足するというのは年金だけで暮らした場合で、国民は政府に完全に頼らずに自分の資産や貯蓄を利用して生活すべきだとは思うが、少子高齢化で年金をはじめとする社会保障制度が厳しい状況に置かれているのは確かだ。

 

俺は個人的には、社会保障は経済成長よりも優先されるべきであると考える。自由経済では格差が広がるだけだし、利潤を求める企業は外部性を考慮しないから、環境問題などが悪化する。だから、政府には自由な経済活動に介入し、適切な規制をもって国民の人権を守ってほしいものである。それに、経済力によってその人の人生が大きく左右されてしまうというのはあってはならないと思うし、すべての人が公平な機会を与えられるべきである。自分が努力しなかったからお金が無くなったのは自己責任だが、そのような人たちの子どもや、やむを得ない事情で貧困に陥ってしまった人、あるいは一度失敗したが再挑戦したいという人には、少なくともチャンスは与えられるべきだ。そのためには、国民の生活を保障する強力な社会保障制度が必要不可欠だと考える。確かに、社会保障の充実には財源が必要で、国民の負担増加は避けられない。特に累進課税に関しては、高収入な人ほど多く税金を払うことになり、努力が報われないという議論もある。傲慢に聞こえるかもしれないが、俺は将来億万長者、少なくとも高収入の富裕層といわれる部類に属することになるだろうから(これについてはなぜか圧倒的な自信がある)、俺の負担は大きくなるだろう。しかしそれでも、俺は福祉のための課税には賛成だ。もちろん、俺自身がいつ貧困に陥るかもわからないし、家族や友人もそのような目に合うかもしれない。それに、貧困のために機会を与えられない人々のことを思うと心が痛む。だから、俺は自分がほかの人より損することになっても、社会保障のために自分のお金を使ってほしい。そういう人間でありたいという方が正確かもしれない。課税によって経済的なインセンティブが失われ経済が少々停滞するということになったとしても、格差を正し、個人が安心して暮らせる社会にしてほしい。

 

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お金よりも幸せのほうが大事だと思う

 

とはいえ、共産主義には反対だ。国民がみな平等ですべてを共有するという考え方は間違っていると思うし、個人の努力は評価され報酬を与えられるべきだ。だから俺としては、中道左派的な政治を求めていると思う。

 

本題の日本の社会保障に戻ると、少子高齢化の影響で、社会保障費が膨らんでいる。年金受給者である高齢者が増える一方、それを負担する労働人口が少子化で減少しているのだ。団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年ごろには、労働人口が大幅に減少し、現役世代1.5人が老人1人を支えなければならない時代になる。これはちょうど俺が働き盛りのころであり、さすがに老人1人の生活を俺が負担するとなると心配だ。多くの人が自分の生活で精いっぱいであるというのに、他人の世話までしなくてはならなくなると考えると、この国の行く末が心配になる。さらに俺たちが高齢者になったら、俺たちの年金を負担してくれる若者がいるのかどうかも不安だ。だから今一番心配で対策をしてほしい問題は社会保障、少子高齢化だ。

 

この問題を考えるうえで重要なのは何かと考えてみると、どう社会保障費の財源を確保し、どうその財源を使うのかという具体的な政策と、子育て支援などの少子化対策をどうするかという点が思いつく。とりあえずこのような点に絞って各党の公約を見てみると、どの党も具体的な内容は異なれど、ちゃんと対策を発表している。まあそれは当たり前か。しかし、ほかの政策と比べた相対的な優先度とか、その政党がどこまで本気なのかとかは公約を見るだけではわからないし、ちゃんとその公約を実現できるかという党の実行力や信頼性も、簡単にはわからない。焦点を絞ればわかりやすいかなと思ったが、やはり支持候補者、政党を決めるのには骨が折れる。

 

自分の中では支持候補者、政党は大方決まっているのだが、この記事では書かないことにする。読者の方には、自分の価値観、信条に合った理性的な決断をしていただきたい。皆がそうすれば、国民の意見がより政治に反映され、よりよい社会になると思うから。自民党に入れるとしても、とりあえず現状維持で自民というのではなく、ちゃんと自民党の政策とか実績を評価して入れるべきであり、逆に野党に入れる場合も、何となく自民党が好かないからではなく、なぜ自民ではなく他の野党のほうがよいのか、一人一人がよく考えることが大切だ。