アニメという日本文化

最近暗いニュースが多いが、特に心を痛めたのは、京都アニメーションの放火事件だ。35人が命を落としたという事実だけでも非常に悲しいものだが、アニメという日本の宝とも言える文化に、大きな傷がついたことにも、目を背けられない。

俺はアニメをあまり見ない(ジョジョとガンダムは見た。ナルトは途中まで見た。ジブリ映画は結構見るかな。でも最近のアニメはほとんど見ない)。時間がないし、興味もあまりないのだが、正直オタクに少し抵抗があるというのもある。しかし、アニメに対する印象は、最近結構ポジティブになってきた。アニメは貴重な日本文化だと思うようになったからである。

そう思うようになったきっかけは、アメリカに住んでいたときに、日本文化の絶大な人気を経験したからだ。日本の伝統文化は評価が高く、特に忍者や侍は大人気だ。多くの友人がナルトを見たことがあると言っていたし、忍者のコスプレをしてくる人もいた。アニメや漫画といったポップカルチャーも広く受け入れられており、日本人の俺よりも大体のアメリカ人のほうがアニメに詳しいという印象すら受けた(ここで日本人としてのアイデンティティーに危機感を覚えた俺は勉強のためナルトを見始めた)。このような経験から、アニメは単なる娯楽ではなく、独特の日本文化だと理解し、アニメや漫画に対する姿勢が変わった。

島国である日本は、大陸からの文化を受け入れつつ、それを発展させて独自の社会、文化を作り上げた。日本の伝統文化はとてもクールだし、誇りに思う。しかし、アニメや漫画といったポップカルチャーは、どこから生まれ、なぜ人気なのだろうか。起源はどうやら浮世絵にまでさかのぼり、出版物やテレビの普及に伴って発達したようだ。その多様性やクオリティーの高さ、ストーリーの面白さから海外でも人気に火がついたという(見たことがある人はわかると思うが、アメリカのアニメは絵がマジでクソ。スポンジボブですらマシな方。ディズニーはすごいけど)。

近年政府は「クールジャパン政策」と称してアニメをはじめとする日本文化を海外に売り込んでいるようだ。政策の効果は疑問だが、海外の人に日本をもっと知ってほしいという姿勢はいいと思う。来年に東京オリンピックを控え、日本に対する興味は世界中で高まっているはずだから、この機会に日本文化を広く発信して、より多くの人に日本の独特で興味深い文化を知ってもらうことが、京アニ放火で亡くなった人々への、せめてもの供養になるのではないだろうか。