松島 観光記

勤労感謝の日に松島に行った.

なんで

せっかく免許を取ったのにそれを全く使わないのはもったいないし,ずっと家にこもっている生活にも飽きて刺激が欲しかったので,レンタカーでも借りてどこか軽く旅行に行こうと思い立った.日本での初めてのまともなドライブであまり遠いところに行くのは怖いし面倒なので,車で40分くらいで行ける松島に行くことにした.松島は大昔に一度行ったことがあるきりであまりしっかり見たことがなかった.仙台の大学生の観光先としてはあまりにも定番だが,俺が行きたいと思えばそれでいいのだ.

大学の友人にそれを言ったら彼らも来たいといったので,男3人でレンタカーを借りて松島に行く運びとなった.

車探し

朝9時に電話で起こされた.あまりにも眠かった.適当に身支度をして外に出たらとても寒かったので,一度戻ってヒートテックを着込んでいった.

友人と合流し,歩いて最寄りのレンタカー屋に行った.予約をしているかどうか聞かれて,していないと答えたところ,今車は全部埋まっていて貸せる車はないと言われた.残念.

しかし仙台はレンタカー屋が無限にあるのですぐに別のをあたることにした.寒い街を歩きながらいろいろなレンタカー屋に電話を掛けたり実際に行ってみたりしたが,どこに行っても「予約されてますか?」「してないです」「生憎今日は車が出払っておりまして...」という全く同じ問答を繰り返す羽目になった.今日は3連休の最終日,巷の大学生はみな同じようなことを考えて旅行にでも行っているのだろうなと想像した.

その後〇〇〇レンタカー(某超有名自動車メーカーの名前が入る)に行ってみた.自動車メーカーの名前が入ったレンタカー屋は高いと聞いていたが,安いところはおそらくすべて埋まっているので仕方なかった.まあ3人で割るので5000円くらいまでなら許容範囲だった.入ってみると,予約しているかどうかも聞かれず,車が空いてるか聞いたらすんなりプランを提示されてびっくりした.それでプランを見てみると,一番安い軽自動車でも6000円以上するという法外な(失礼)金額設定がなされていた.通りでここは車が出払っていないわけだ.こんなに払いたくないので礼を言って店を出た.

その後も仙台の街を練り歩いてはレンタカー屋をあたるということを繰り返し,すべての希望を失ったころにはおよそ11時になっていた.あまりにも寒かったが,ヒートテックが俺を救った.

電車

電車で行くことにした(本末転倒).しかしここで衝撃の事実が判明する.電車で行った方が車で行くより安いし速い.往復で1000円もかからないし,片道20分で着く.駐車場代などを気にする必要もない.公共交通機関のすばらしさを実感した瞬間だった.

松島駅で止まる電車に乗るためにホームに向かっていたところ,松島海岸の観光客はこの路線じゃなくて別の路線に乗った方がいいよという掲示があった.どうやら松島駅から松島海岸まで行くには少々歩く必要があるらしい.しかしGoogle mapで調べたところあまり長い距離でもなかったので,より安くて速いこちらの電車で行くことにした.

松島駅に近づくと,きれいな海と島々が見えた.日本三景・松島である.しかしその眺めはすぐ山に遮られ,電車は止まる気配もなくずんずん進んでゆく.おとなしく掲示に従って別の電車で行くべきだったか?と思い始めたが,これは杞憂に終わった.

松島

電車を降りて少し歩くと海が見えた.しばらく歩いてゆくと道沿いに小学校があって,「観光客の方へ.児童の写真を撮らないでください」という掲示があったのが面白かった.さらに歩いてゆくとにぎやかになってきて,食事処や土産屋などが立ち並んでいた.そして,洋々たる海,点々と散らばる大小様々の島々,生い茂る松の木々(ゲシュタルト崩壊)が視界いっぱいに広がった.

松島という名前がこの光景すべてを表していると思った.松が生えた島が無限にあるので松島.わかりやすい名前でよい.

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牡蠣を食べた.

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牡蠣を食べたのは5年ぶりくらいかもしれない.あまりにおいしくて幸せでお腹一杯になった.誇張なしでまじでびっくりするほどうまかった.久しぶりに食べ物で感動した.

やたら長い橋を渡ると福浦島という小さな島に行けるので,渡った.

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島の中をしばらく歩くと,きれいな紅葉が見られた.

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美しいグラデーションだった.感動した.

売店があったので,焼き団子を食べた.

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あまりにもおいしかった.こんなにも米をうまいと思ったことはない.奥に写っているのはお茶ではなく「ひやしあめ」という飲み物.はちみつとか生姜とかが入っている冷たくて甘い飲み物.聞いたことがなかったので,興味本位で友人が注文したが,彼は好きじゃなかったらしく俺がもらった.俺は好きだった.ジンジャーエールの炭酸を抜いてもっと甘くしたみたいな感じの味(生姜が入っているので,それはそう).冷たかったが,生姜が入っているせいかあまり寒く感じなかった.おいしかった.

島を道に沿って歩いていくと,脇に舗装されていない山道を見つけたので,その道を進んでみることにした.斜面は険しく草が生い茂っており,明らかに観光客が通ることが想定されていない見た目をしていたが,それでも道を下っていくと砂浜にたどり着いた.マリオの隠れルートを見つけたような感じで気分が良かった.

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その後も舗装された道を通ったり通らなかったりして,海と紅葉を楽しんだ.島を一通り見終わったら橋を渡って戻った.

その後,飯を食べようと商店街のあたりをぶらついた.進んでいくと,何やら大きな寺院のようなものがあった.瑞巌寺という寺だ.こんなものがあることは知らなかったので入ってみた.背の高い木が脇に生えているきれいな道を進むと,門があってそこから先に進むにはお金を払う必要があるらしい.別に参拝するつもりはなかったのでそれには入らなかった.近くにめちゃくちゃいい雰囲気の甘味処があってあまりにもエモかったので入った.江戸時代の旅人にでもなったような気分だ.

中は暖かく生き返ったような気分になった.エモい形のストーブがあった.

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松島は全然関係ないが月見そばを食べた.普通の月見そばの味がした.

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腹ごしらえが終わり,他に何か見るものがあるかどうか調べてみたら,あとは遊覧船くらいしかなかった.小さいころに松島に行ったときに遊覧船に乗ったのを覚えている.もう一度乗ってみることにした.

遊覧船では,50分ほどかけて松島の様々な島々を見た.船内で「右手に見えるのは~」「左手の細長い島は~」といろいろ放送で解説してくれるので面白かった.どの島も個性的だった.大きい島,小さい島,裸の島,人が住んでいる島,穴が開いている島,なんか変な形の島,島.

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小さな島に松が生えているというのは不思議だと思った.なぜごつごつとした岩肌に松がこんなにも生えられるのだろう.松が一本だけ生えているという島もある.長い時間をかけて,松の種が風で飛ばされたり波で流されたりして,いろいろな島に流れ着いたのだろうか.それとももともとこの辺りは全部陸続きで松が生い茂っていたのが,海で分断されたのだろうか.

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遊覧船から降りたのち,あまりにも寒かったのですぐに帰った.もう歩きたくなかったので松島駅まで歩かずもっと近い駅から行った.

最後に

松尾芭蕉が松島を前にして「松島や ああ松島や 松島や」と詠んだのはあまりにも有名である.3歳児程度の語彙力しかない句だが,実際に松島を見てみると割と芭蕉の気持ちがわかる.「ああ,きれいだなあ~」という感想しか出てこないし,それでいいと思っている.何も考えずに永遠に眺めていられる絶景だと思う.

仙台からとても近くてすぐ来れたので,気が向いたらまた来たい.