沖縄滞在記

3/10から3/16で沖縄に行った記録である.また旅行記か.この記事を含めて直近6本の記事がすべて旅行記である.もはや何のためのブログなのかよくわからない.

物理のスプリングスクールに参加するため,沖縄・那覇に滞在した.平日5日間,物理関係の講義や発表が続く.そのため観光をする時間はあまりなく,那覇市周辺を軽くまわれた程度だが,非常に面白い経験をたくさんしたので記事を書くことにする.

スクールの内容自体について書くつもりはない.休み時間や放課後,および講義を抜け出しての食事や観光について書く.

旅費は,スクール中にポスター発表をすることを条件に,研究室から補助を頂いた.ありがとうございます!いろいろなところに人のお金で行けるのは研究の醍醐味である.研究者を目指すモチベーションの3%くらいはこれである.

3/10(日)

昼ごろの便で1時間強かけて仙台空港から大阪の伊丹空港へ.次にそこから2時間強かけて那覇空港へ.仙台から那覇へのANAの直行便もあったらしいが,僕はJAL人【じゃるんちゅ】なので乗り継ぎが必要であった.

飛行機の中では有川ひろ「アンマーとぼくら」を読んでいた.旅行記を書くたびにいっていることだが,旅行と読書を組み合わせるとかなり幸せになれるのでおすすめ.旅行先が舞台の小説は,観光案内をしてくれるほか,その土地のことばとか豆知識とかを教えてくれる.また,旅行中あるいは旅行後に読めば,作品への没入感が増す.「アンマーとぼくら」は,沖縄に来る前にブックオフで適当に沖縄の小説を探して見つけた.泣ける作品ではあったが......,文章の感じがあまり好みではなかった.......同じ作者の「図書館戦争」は大好きなんだけれど.

17時頃那覇空港に到着した.長袖じゃ暑いよ〜というくらいの気温を想像していたが,結構涼しかった.東北でいつも着ている厚手のダウンを着たままで特に問題なかった.東北より暖かいことは間違いないが,半袖だと少し肌寒い.

バスで那覇市内のホテルまで移動する.車内から風景を観察していた.まず植生が違うという点に気づいた.ヤシみたいな木が至るところに生えている.街路樹もよく見ると東北に生えているようなものとは少し違うように見える.また,全体的に色使いが独特であるという点に気づいた.白と橙が目立つ.沖縄の伝統的な屋根は,橙色の瓦を白い漆喰で固めたものだというのは写真で見て知っていたが,現代的な建物についても,白を基調として橙色のアクセントが入っているような配色になっているものが多いと感じた.もう一つ特徴的な色を挙げるとすれば,鮮やかな赤あるいはピンクだろうか.これは,花の色である.特に,ハイビスカスの.いろいろなところで咲いている.きれいである.

同じ研究室から来ている人【らぼんちゅ】が僕の他に2人おり,彼らは一足先に着いて国際通りを観光しているらしい.ホテルについたあと,歩いて国際通りへ向かい,僕も彼らに合流する.

途中,エメラルドグリーンの川があった.そういう特殊な水質かなのかなと思って調べたら,単に超絶汚いだけみたい.

沖縄の美しい海を守りたい.......

さらに,超かっこいい建物を見つけた.那覇市役所である.どうしてこんなに大きいのだ?仙台の市役所よりも圧倒的に大きいように見える.

モダンで洗練されたデザインという感じがする.

国際通りを歩く.飲食店や土産物屋などが立ち並んでおり,見ていて飽きない.夕食を食べるため,適当な沖縄料理店に入る.

店内では島唄ライブが見られた.「涙そうそう」「島人ぬ宝」「島唄」など有名な沖縄ソングで聞いたことがあるような,あの楽器の音の感じがある.

初日から飲んじゃうか!オリオンビールを飲む.非常に飲みやすくて,無限に飲めちゃうビール.ところで,隣のテーブルに座っていた6人ほどの集団が全員オリオンビールのTシャツを着ていた.そのときは,オリオンビールの会社の人か何かなのかな,と考えていたが,その後通りを歩いているとオリオン人【おりおんちゅ】にたくさんすれ違う.オリオンTシャツの上からアロハシャツを着るなど,めいめい着こなしている.そういう風習でもあるのだろうか?

料理を注文する.左から,ソーキそば,海ぶどう,ラフテーである.

ソーキそばは,なんかうまい汁のなかに,独特な白い麺が入っており,その上に謎の肉が乗っているという料理である.これがうまいんだよなあ!麺と汁だけですでにうまい.本土でも日常的にこれを食べたい.

海ぶどうはぷちぷちした食感のある謎の海藻である.見た目は,粒がとても小さいぶどうのようである.この食感にはまる.Wikipediaの海ぶどうの記事を読んでもっとも衝撃的だったのが,これが単細胞生物であるということである.

ラフテーは豚の角煮である.うまい.

次にゴーヤチャンプルーを注文した.必死に沖縄を摂取していこう.ゴーヤチャンプルーは小さい頃から実家で何度も食べている.なんなら,ゴーヤはアンパンマンに登場するほど全国的な食べ物ではなかろうか?ゴーヤの苦いのが苦手という人も多いが,僕は好きである.

次に,グルクンの唐揚げ.グルクンというのは聞いたことがなかったが,沖縄では一般的な魚であるらしい.和名はタカサゴで,それは聞いたことはあるが,どちらにせよ食べるのは記憶している限りはじめてだ.おいしかった.

明日は朝早くから講義があるので,酒は最初に頼んだオリオンビールだけにとどめておくつもりだったが,やっぱり泡盛を体験したいということで,一杯だけ水割りを注文してみんなで分けて飲むことにした.結構クセが強いというイメージがあったが,水割りだからかも知れないが飲みやすかった.たしかに独特な味はするが,慣れたら結構好きである.スクールの最終日とか,翌日のことを気にする必要がないときにたくさん飲みたいなあ!

店を出て,さらに国際通りを徘徊する.露店でさとうきびを売っていたので購入した.奥歯で噛んで,出てくる汁を吸うらしい.結構ちゃんと噛まないといけないので,前歯だと無理だ.汁は,甘いスイカみたいな味がして,おいしい.端っこの方は簡単に噛めるが,真ん中の方は至難の業.さとうきび本体は食物繊維のかたまりみたいな感じで,歯にはさまって厳しい.面白い食べ物だった.

サークルの後輩に沖縄出身の子【うちなんちゅ】がいて,事前に沖縄のおすすめを聞いたらサーターアンダギーを教えてもらったのを思い出した.サーターアンダギーを食べる.ドーナッツみたい.ちょうどよいおやつという感じで好き.

ミスドのオールドファッションを丸くした感じ,と言えばいいだろうか.

コンビニに入る.コンビニの商品は,その土地では日常的だが,外の人からすると非日常だったりするので,何があるのかチェックするのは面白いだろう.なかんずく面白かったのは,沖縄そばのカップ麺と,さんぴん茶.ちょうどのどが渇いたのでさんぴん茶を購入した.ジャスミン茶のような味である.

国際通りの端っこまで歩いた.端から端まで,30分くらいだろうか?にぎやかで面白いところだ.シーサーの写真でも挙げておこう.

すごく既視感がある.やっぱり獅子だ.シーサーが獅子の沖縄語名と言われればそうなんだけれど,意識したことがなかった.シーサーはシーサーだと思っていたので.

国際通りを引き返し,21時過ぎくらいにホテルに戻る.そこから競プロのコンテストに参加して寝た.

3/11(月)

7時半頃に起きてホテルで朝食をとり,スクールに向かう.午前中は講義があった.

昼休みは2時間ほどある.ラボメンと再び国際通りに向かい,A&Wに入る.A&Wは沖縄のハンバーガーチェーンであり,ルートビアで有名である.ルートビアは,湿布のような味がする炭酸飲料である.色や味はドクターペッパーに近い.ただ,とにかく湿布である.

ルートビアの感想だが,結構いける.なんなら好きかもしれない.一口目は,あまりにも湿布そのものだったのでさすがに笑ってしまったが,なかなかどうして癖になってしまう.

スクールに戻る途中で本屋に寄って沖縄小説を調達する.真藤順丈「宝島」を購入した.読んだら感想を書く(追記 4/15:書いた.記事の一番下).

午後も18時頃まで講義があった.19時からバイトのミーティングがあるのでホテルに戻る.ミーティング終了後,ホテルの近くの沖縄そば店に入り,ソーキそばを注文した.

上に乗っているドロドロした肉,ソーキそばでしか食べたことがないのだが,これは何なのでしょうか.

ホテルに戻って,読書や作業などをして寝た.

3/12(火)

午前中は講義があった.

ラボメンと昼食に行こうとしたところ,来月から行く大学院の先輩に遭遇したので,その人も合流して一緒に昼食を食べる.まだ食べていない沖縄料理はないかと探して,そういえばタコライスをまだ食べていないことに気づく.それを食べられるところを Google Maps で探して入る.入ってみたら,メニューにタコライスないけど!まあいいや.これを食べる.名前は......忘れた.おいしかったことには間違いない.

時間がたくさん余っていたので,また国際通りに行く.見かけた果物屋には,知らない果物がたくさんあって面白かった.

スターフルーツってなんだろう.

14時半から,研究室の学会発表練習会がオンラインであるので,午後の講義に行かずにホテルに戻る.観光したかったので僕が真っ先に発表し,30分くらいで終えた.首里城に行くぞ!モノレールに飛び乗って首里駅へ.

石垣と木々に囲まれた石畳を歩いていく.眺めが良い.西を見ると,遠くに海が見えていい感じだ.

正門に来た.ここも石でできているのか.

この眩しいまでのピンクが,3/10に言及したピンクである.

こんなになんでもかんでも石でできているお城【グスク】ははじめて見た.本土のお城はどこにも石垣はあるが,たいてい,門のところは木製だとか,地面は土だとかだと思う.

ここから先は有料エリアだ.数年前に焼失し,現在再建中の本殿の工事の様子が見られる.

この建物の中で作業をしている.壁に絵を描いていてくれて,いいね.

写真を取っていないが,中も見られる.こんなに途方もなく大きいものを作る作業は,終わりが見えなさすぎて途方に暮れてしまいそうだなあ.マシンパワーを手にした現代人でさえ手に余る(?)ような,こんな大規模なプロジェクトを昔の人はやったんだなあと感じ入る.

その後,首里城公園をぶらぶらする.植物が生い茂っているところがあった.

青々とした木々に陽光が燦々(sun sun)と照りつける.

5月みたいだ.一足先のはつなつ.

初夏を「しょか」でなく「はつなつ」と読むの,よくないですか.最近,俵万智の短歌を読んでいて,「はつなつ」という言葉が出てきてうわあああ!(悶絶)ってなっちゃった.リズムが良い.あと,は行の音がきれいな感じがするんですかね.沖縄に関係のない話をしました.

首里城からちょっと歩いて,玉陵【たまうどぅん】という,おいしそうな名前の遺跡に行く.王陵(王の墓)らしい.面白いね.

全部石でできている.シンプルでいいね.宮城にある瑞鳳殿も同じ墓だが,そちらの豪華絢爛さとは対照的だと感じた.

シーサーを探せ!

それにしても,沖縄が最近まで琉球王国だったというのは不思議な感じがするなあ.歴史で習って知っていたとしても,沖縄はまぎれもなく日本の一部だというイメージを無意識のうちに持っていた.沖縄には独立した歴史があるということをはっきりと意識したことがなかった.

面白い場所だった.そういえば,こういう木を沖縄でよく見る.ツタみたいなのが幹に絡まっていたり,根みたいなのが垂れ下がっていたりする木だ.ガジュマルである.この根は気根といい,地面に到達すると太くなってやがて幹となる.やがて君になるじゃないよ.

次は首里金城町の石畳道を歩く.日本の道100選にも選ばれているらしい.

沖縄って感じがするな〜.赤い屋根と青い空と花.

石畳道の端まで来た.そろそろ帰ろうか.しかし,かなり中途半端な場所にいる.最寄りは依然として首里駅なのだが,いまからこの石畳道を引き返し,首里城公園を通って駅まで行くモチベーションはない.いっそのことホテルまで歩いてしまおう.1時間歩けば帰れるらしい.途中からは国際通りに入るので,退屈はしなさそうだ.

18時頃ホテルに到着して一休みしていたところ,午後の講義を終えたラボメンから夕食のお誘いが来たのでまた国際通りに行く.ステーキを食べた.

旅行では飯はケチらないことにしているが,それでもこれだけ散財していると不安になってくるな!

3/13(水)

そろそろ朝起きるのが辛くなってきたなあ.今日は講義はない.午前中は少人数のグループに分かれて互いの研究内容などについて話すというセミナーを行った.僕は卒論の内容を話した.研究室の卒論発表会とか,昨日の学会発表練習とかでも話した内容なのである程度慣れていたが,毎回話す相手が違うので毎回勝手が違う.今回もどこまで理解されたのかはわからない.しゃべるの上手になりたいなあ.

他の人の発表も聞いて,面白かった.当然,内容をちゃんと短時間で理解するのは不可能だが,研究のモチベーションと大雑把な方法を知るだけでも面白い.研究の世界は広いなあと思う(小並感).

昼休み,国際通りへ.昨日食べられなかったタコライスのリベンジマッチだ.タコライスとタコスと沖縄そばがついている最強のセットを食べる.実はタコライスは沖縄発祥である.

帰る途中,ブルーシールで紅芋ソフトを食べる.ブルーシールは沖縄のアイスクリームチェーンである.A&Wもそうだが,沖縄には米軍の影響でアメリカ食が多い.

午後はポスター発表である.前半は僕は聞き手にまわる.物理のあらゆる分野の人が来ているから,いろいろな内容のポスターがあって面白い.やっぱり素粒子とか量子情報とかを(趣味として)勉強したいな〜という気持ちになった.一番直感的にかっこいいと感じるのが,宇宙,時空,量子とかそういう話だから.ただ,勉強したい分野が無限にあって手が回らない.暇を見つけて相対論をかじったりはしたが,まだまだ先は長い.趣味だと割り切って,死ぬまでに理解できればいいくらいのペースでいいので,勉強していきたい.

後半は発表.つ,つかれる......!全部を喋るのに2, 30分かかる.一通り説明して質疑応答も終わって人がはけると,また別の人がやって来るので説明し直す.しかも,聴衆のバックグラウンドが多様なので,どれくらい詳しく話せば良いのかつかみづらい.大変だった.でも,はじめてのポスター発表を経験できてよかった.専門が近い人とも知り合いになれてうれしい.

1時間半くらいポスター発表をして疲労困憊だ.このあとは懇親会がある.海沿いの会場まで30分ほど歩く.途中,波上宮に寄る.何を隠そう,実はこれが初詣である.

懇親会はバーベキューだ.酒が無限に飲めた.飲むことが可能というだけで,無限に飲んだわけではない.明日も朝から講義があるからだ.ただ,泡盛を飲んだ.水割りは1:3が良いと聞いたので,泡盛を1にしたら,薄いと感じた.次は泡盛の方を3にしたらちょうどよかった.ちょっと濃い目に作ってちびちび飲むほうが好きである.

人と雑談をしていたら,仙台の話になって,「仙台には,仙台駅を庇い石にされてしまったアンパンマンを見に行きたい」と言われた.このネタは競プロ界隈でしか知られていないものだと思っていた,と言ったら,なんとその人は競技プログラマだった.世界が狭すぎる.物理のスクールで競技プログラマに出会うとは思っていなかった.Twitter 上の名前を互いに名乗ったら,お互い認知していた.スクールに来る2日前に,僕は東北大で開催された競プロのコンテストの運営をしていたが,彼もオンラインで参加していたらしい.いやあ,びっくり.研究の世界は広いなあと思った次の瞬間には,その狭さを噛み締めている.

9時頃お開きになって,ホテルまで歩いて帰る.

スクールも折り返しだ.ポスター発表という最重要ミッションをコンプリートしたので,あとは沖縄を満喫することしか頭にない.

3/14(木)

午前中の講師は,僕の来月からの指導教員だ.内容に興味があったので,真面目に聴いていた(では今までのを真面目に聴いていなかったのか,とは聞かないでくれたまえ).講義後,あいさつや質問を兼ねて先生のところに行って喋っていたら,そのまま昼ご飯を食べる流れになり,数人で食べに行く.庶民的な料理店という感じのところ.豆腐チャンプルーを注文した.いつもの豆腐と少し違う感じがした.なんというか,粘度が高い.

先生が「沖縄ってそんなに料理がおいしいというわけではなくないですか?」とおっしゃった.確かに沖縄の料理は珍しいけれど,特段おいしいというわけではないかも知れない.いや,わからない.僕にとっては,いまのところ沖縄での食事の体験は非常に満足度が高い.単に珍しいから楽しい(それで十分である)というのもあるが,ソーキそばやゴーヤチャンプルーなんかは日常的に食べたいと思う.

先生と話して研究のモチベーションが高まった.来月からが楽しみだ.

午後の講義を受ける.終わる.夕食.ラボメン+スクールで知り合った人と夕食に行く.まだ海鮮を食べていないので,海鮮系のところに行く.

これはジーマーミ豆腐.味は豆腐みたいだが,食感が謎.粘度がとても高くて,どちらかというと餅に近い.

刺身盛り合わせ.謎の魚がたくさんある.どれがなんていう名前の魚なのか全然わからない.全体的に結構歯ごたえがあるのと,皮が硬いという印象を受けた.

これはもずくの天ぷら.沖縄はもずくも有名である.

これはドゥル天.沖縄の芋である田芋を練ったものの天ぷらである.沖縄といえば紅芋が有名だが,他にも特有の芋があるみたいだ.少し紫がかった色をしている.

他にも何品か頼んで,満足した.どれもおいしかった.

ホテルに帰って,論文を書く.論文執筆のせいで,文章を書きたいという欲が高まってこのブログを書いているみたいなところはある.科学論文には書き方にかなり制約がある.理科系の文章は,極限まで正確さとわかりやすさを求めるのが特徴だ.だから曖昧な言葉は一切使ってはいけないし,変な修飾技法も使えない.だから,その反動で,自分の好きな言葉を使って自由に書ける場所がほしいと思う.

それでも,論文を書く経験は文章を書くこと一般に役に立っていると思う.卒論で意識したことで,この記事でもいくつか注意している点がある.たとえば,省略しても自明でない限り主語を明示する,ひらくべき漢字をひらく,長過ぎる文を避ける,一つの段落で複数の話題について話さない,といったことである.所詮,誰も読まない記事なのでそこまで徹底しているわけではないが,簡潔さ,明快さなどの美徳はあらゆる文章を書くうえで大切にしようと心がけるようになった.

沖縄の記事なのに急に理科系の文章技術の話をしている時点で,すでに理科系の文章技術に従っていないという指摘は甘んじて受け入れる.

3/15(金)

午前の講義はモンテカルロ法についてで,興味があったので真面目に聞いていた.実際に非常に面白くて,この分野の研究をいつかやってみたいなと思った.

午後は観光だ!レンタカーを借りて,ラボメンたちと東を目指す.那覇から50分ほど運転して,南城市へ.いい眺め!

まずは腹ごしらえ.沖縄そばとサーターアンダギーのセットを食べる.毎日のように沖縄そばを食べている気がする.

次は,琉球王国最高の聖地,斎場御嶽【せーふぁうたき】へ.「アンマーとぼくら」に一瞬登場したので,僕が行きたいと主張してここに来ることになった.

ガチの聖地なので,マナーをちゃんと守り,写真撮影などは控えよとの注意があった.規模はそんなに大きくなくて,森の中の石畳道を30分ほど歩けば終わる.静かな場所だった.複雑に絡み合ったガジュマルの幹が,この場所の古さを物語っていた.

斎場御嶽のWikipediaを眺めていたら,いろいろ嫌な気持ちになる情報が載っていた.まず,マナー違反の観光客の急増により,将来的に男子禁制にすることも検討しているとか.まだ入れてよかった〜.また,斎場御嶽の一番奥にある三庫理は,今日行ったときには立入禁止だったが,そうなったのはつい最近のことであるらしい.3年ほど前に,そこにある重要な石が盗まれるという事件が起こったそうだ.小説では奥まで入っていたよなあ,と不思議に思っていたが,そういう事情があったのか.端的にカス.

なにはともあれ,きれいな場所でした.

次に,近くにある知念岬まで歩く.途中,バナナが生えていた.つぼみ,でかくない?こんな大きな花が咲いたらさぞかしきれいだろうなあ,と調べてみたら,だいぶ気持ち悪い花で幻滅した.

ハイサイ,マヤー.

海岸まで歩いて降りられた.やっぱり,エメラルドグリーンみたいな,独特の色の海だ.那覇市に流れている川がこういう色をしているのは単に汚いからだと思っていたが,やっぱりそういう特殊な水質なのではないか?(川が汚いのは間違いないが).雑に調べてみたら,海が遠浅であることが理由だとか,サンゴ由来のミネラルが原因だとか,いろいろ書いてあったけど,川の色まで説明する納得の行く理論がなかった.

車に戻ったのが16時頃 .今日は斎場御嶽に行ったあと,鍾乳洞を見るつもりだったけれど,微妙な時間だったので,適当に寄り道しながら那覇に戻ることにした.

ひめゆりの塔に寄る.何も調べずに行って,ちょうど17時頃にとなりの駐車場についたら,地元(?)のおじさんに,「資料館は17時までだよ!いまから行くなら電話して開けておいてもらったほうが良いよ!」と親切に教えてもらう.電話をしたときには17時を微妙に過ぎていたが,門を開けて入れてもらった.入れるのは17時までだが,資料館自体は17時半まで開いているので展示を見た.

沖縄戦で看護要員として動員された,ひめゆり学徒隊に関する展示がある.ひめゆり学徒隊について,全然知らなかった.展示は,いろいろと思うところがあった.

Wikipediaで,沖縄にある米軍基地の地図を見てびっくりした.沖縄は小さい島なのに,その大きな面積を米軍基地が占めている.実に沖縄本島の15%にのぼるらしい.僕は第二次世界大戦なんて大昔の出来事のように思っていたけれど,ここではまだ終わっていないのかも知れない.

外に出たら,大きなガジュマルがいた.ガジュマルかなり好きなんだよね.髭をめちゃくちゃ伸ばした仙人みたいな,そういう威厳や神秘を感じませんか.

車を走らせて那覇へ戻る.夜は再び国際通りへ繰り出す.お土産を物色しながら歩く.国際通りの入口にある巨大スクリーンで流れている雪塩サンドの広告の「ゆきしおサンド♪ゆ〜きしおサンド♫」というメロディに脳を毒されてしまい,気がついたら買ってしまっていた.

ハブ酒のショットを飲めるところがあった.ハブ酒はここに来てからいろいろなところで見かけているので気になっていたが,別の場所で飲んだことのあるラボメンの一人が,これはきついと言っていたので警戒していた.でもやっぱり気になるよね.ハブがホルマリン漬けになっているみたいな瓶を見たらさ.

というわけで試す.警戒しつつも一息に飲み干す.あれ,思ったよりきつい味はしないぞ.なんならスッキリとして飲みやすい.

沖縄料理が食べられる居酒屋に入る.まだ食べていない沖縄料理を片っ端から注文していく.まず,ミミガー.豚の耳.コリコリした食感が面白い.

豚の脳.見た目は白子に似ている.味や食感もちょっと似ているが......,でもちょっと違う気がする.なんとも形容しがたい.おいしい.

フーチャンプルー.麩のチャンプルー.肉はスパム.チャンプルー系全部うまいです.日常的に食べられるとうれしい,落ち着く味だ.

これなんだっけ.何かのおにぎり.

右はグルクンの南蛮漬け.おいしいね.左は豆腐よう.こいつが問題児でしたあ!!これは,豆腐を泡盛などを使って発酵させた食べ物である.匂いがすでに強烈に泡盛.味は......うおおお強烈な泡盛の風味が口いっぱいに広がり,離れない.ラボメン一人は一口で脱落し,残り二人で,酒で流し込みながら完食した.なんですか,これ.沖縄の食べ物はどれもおいしいな〜とにこにこしていたら,ここにきて強烈な変化球を投げ込まれてデッドボールを食らってしまった.

気を取り直して次に.ジーマーミ豆腐の揚げ出し.ほとんど食べてしまったあとの写真なのはご愛嬌.これはとてもおいしいですね.やっぱり昨日食べたジーマーミ豆腐と同じで,もちもちした食感がある.

お酒は,泡盛を2杯ほど飲んでいた.あらかじめハブ酒を飲んでいたこともあり,結構酔いが回った.

店を出て,国際通りを歩きながら帰る.スパムおにぎりの店を発見した.そういえばまだ食べていなかった.米が恋しかったので食べる.

しめはやっぱり沖縄そばですか?アーサそばを食べて終わりです.


3/16(土)そして あとがき

少しゆっくり目の朝を過ごした.モノレールで那覇空港へ向かい,お土産を少し見たのち,昼頃のフライトで帰った.

沖縄,良かった〜.小さな島に一つの完全な世界があるという感じがして,とても素敵だと思いました.

僕は夏が好きなので,常夏の島に住むという選択肢は真面目に検討する価値がある.沖縄には沖縄科学技術大学院大学(OIST)があり,本気で沖縄に住みたいと思ったら,そこでのポストを探すという手がある.ただ,雪がまったく降らないという点に,東北人として耐えられるかどうか,というのは未知数である.たまにある,宮城でも雪が全然降らない年には,物足りない気持ちになってしまう.寒い冬があるから夏が好きであるという可能性はある.

やっぱり沖縄に1年くらい住んで,すべての沖縄を体験する必要がある.OISTに進学するあるいはそこでポストを得るまでは行かなくとも,近い分野の研究者がOISTにいれば,その人のもとで短期なり長期なり滞在して研究するというのは現実的なシナリオである.

那覇周辺以外の沖縄も見たい.離島に行きたい.石垣島とか,宮古島とか.

「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
― 俵万智

追記 (4/15):真藤順丈「宝島」感想

戦後沖縄の,アメリカ統治時代の話.沖縄の若者がアメリカ軍と戦ったりヤクザと戦ったりヤクザになったりする話.どこまで史実に沿っているのかは知らない.そもそも沖縄の歴史について無知すぎて,アメリカ統治時代なんてものがあったことを知らなかった.勉強になりました.

文体がめっちゃ好きだった〜.沖縄語が会話文だけじゃなくて地の文でも多用されていたり,地の文に沖縄語の謎の合いの手が入ったりして,最初は面食らうのだが,慣れてくるとめっちゃかっこいい感じに思えてくる.硬めの言葉や文体,重めの内容と対照的な明るい沖縄語の語尾や合いの手がうまくミックスされていて素晴らしい.

ストーリーも非常に面白かった.序盤に提示された謎が徐々に明らかになっていく感じで,早く続きを知りたいと思わせられる.

沖縄に行ったあとに読むことで没入感が増したかどうかはちょっと微妙.メインの舞台はコザで,那覇はあまり出てこなかった.でも沖縄の植生とかのイメージを持っているだけでも,情景の想像はしやすかったかもしれない.

内容は重めだけど,そんなに精神に来るような描写が多いわけではなくて,どこか明るい感じが常にあって読みやすいと思う.面白いのでおすすめです.