アメリカ、栄光と挫折(2)2年目~3年目

アメリカに1年住むとかなり生活に慣れ、英語も上達した。だいぶ余裕ができたので、学校でいろいろとチャレンジするようになった。

 

まず、陸上でできた友達に勧められてクロスカントリーを始めた。クロスカントリーも長距離走なので陸上で長距離をやっている人の多くがクロカンもやるらしい。個人的には陸上よりもクロカンのほうが好きだった。夏の灼熱の中、上下の激しい道を5キロ走るのはきついが、なぜか陸上よりも楽しめた。それに新しい友達も増えたので毎日の練習が楽しかった。

 

学校では微積とかコンピュータサイエンスとかいろいろ難しいクラスもとってみた。まあ難しいといっても数学とかプログラミングが得意な自分にとっては結構余裕だった。特に微積のクラスでは神扱いされた。

 

微積のクラスで好きなやり取り

先生:Sota, what’s the derivative of  x^x? (ソータ、 x^xの微分は何?)

 

俺: x^x (\ln x + 1)

 

先生:Guys is that right? (みんなこれあってますか?)

 

生徒:Yeah Sota’s always right, that’s the fundamental theorem of calculus (ソータはいつも正しいっすよ、それが微積の基本定理っすよ)

 

こんな感じで絶対的な信頼を置かれていたので、たまにめんどくさかったけど楽しかった。

 

2年目は全体的に楽しかった。アメリカでの学校生活に慣れ、英語も上達して友達も結構できたので、普通に高校生活を楽しめるようになった。日本人の友達ともたくさん遊んだ。2年目の終わりに仲良かった友達がたくさん帰国してしまったときは本当に寂しかった。

 

夏休みはスーパーコンピューターのサマーキャンプに行ったり、クロカンの練習に行ったり、一時帰国したりと楽しいことがたくさんあった。そしてアメリカでの最後の年、シニアイヤー(高3)へと突入した。

 

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2週間スーパーコンピューターと戯れた至高の日々。

 

学校では日本人と会うことがほとんど無くなった。今まではどれかのクラスには日本人がいたのだが、今年は一人もおらず少し不安だった。仲良かった友達も帰国し日本人の友達と遊ぶことも少なくなったので、アメリカ人の中で1年間耐えられるだろうか?と心配だった。

 

結果から言うと、今年はまじで楽しかった。なぜか考えてみると、今年はかなり忙しかったからかもしれない。去年よりももっと難しいクラスを取り、クロカンと陸上も続け、数学やプログラミングの大会にいくつか出場した。日本人相手に家庭教師のバイトも週に何回か入っていたし、補習校にも毎週行った。現地校では新しい友達もできて、一緒に勉強したり遊びに行ったりした。ほとんど毎日何かすることがあって、忙しくて大変だったけど、何よりも楽しかった。

 

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超音速で走る俺の残像

 

今年はすごく楽しかったので一瞬で過ぎ、気づいたら卒業し、もう帰国の時となった。アメリカで過ごした3年間を全体的に振り返ると、自分の中でいろいろ変わったことに気づいた。

 

1.異文化理解みたいなのが少しできるようになったと思う。アメリカにはいろんなバックグラウンドの人がいて、人種だけをとっても白人、黒人、ヒスパニック、インド人、アジア人など多彩だ。みんな別々の文化を持っていて、それが共存している。キリスト教徒の友達と神の存在について議論したり、インド料理屋でナンの正しい食べ方をインド人の友達から教わるなんて日本にいたらできなかった経験だ。今まで日本文化が普通、それ以外は異常だと心の底では思っていたが、いろんな文化に触れる中で、どの文化も個性的で興味深いと思うようになった。

 

2.英語が結構使えるようになった。ネイティブのレベルには程遠いけど、日常会話はあまり苦労しなくなった。それに、英語がわかるようになったことでアクセスできる情報量が圧倒的に増えたことに気づいた。何か知りたいことがあったら、日本語よりも英語でググる方がたくさんの情報が手に入る。最近読んだ本も半分くらいは英語だ。英語が使えるとすごく便利だし、高校生のうちにここまでできるようになってよかった。

 

3.自信がついた。3年前アメリカに来たときは本当に不安だったが、それを乗り越えたことで自信につながった。精神的にも肉体的にもこの3年間で大きく成長したと感じている。

 

アメリカに来て本当によかったと思っている。この経験はこれからも役に立つと思うし、何よりも楽しかった。

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ありがとうアメリカ、また会おう

 

ではなぜ、日本に帰るのか?1つの理由は、アメリカの大学の授業料が非常に高いことだ。アメリカ人は政府から奨学金が出るので少しは楽になるが、アメリカ市民でない自分は基本的に国内生よりも多くの授業料を負担することになる。また、日本のほうがいい大学に入りやすいというのもある。いい大学に入ることが人生の目標ではないんだけど、アメリカの高校では最初の方は学校に行くだけで精一杯で課外活動とかをあまりしていなかったから、課外活動を重視するアメリカの大学で高いところを目指すのは厳しいと思った。一方日本では帰国子女入試の難易度は一般入試よりも低いらしいし、日本に帰ってきた方が良いと考えた。

 

でも何より、一番の大きな理由は、もう一度日本でやり直したかったという気持ちだろう。アメリカで学んで、大きく成長したし、英語も伸びたと思う。それでも、日本語の方が断然得意だし、日本語の方が自信も持てる。だからもう一度日本で、言語、文化の壁がない状態に戻りたいという思いが強かった。

 

だからこそ、「楽な方に逃げた」と後悔しないように、これから日本で頑張っていきたいと思う。

 

 

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