一人暮らしと自由

一人で住み始めて2か月になる。俺は学生寮に住んでいるので完全に一人暮らしというわけではなく、食事は朝晩毎日出るし、月に一回清掃もしてくれるし、門限もあるが、他の家事とかいろいろは自分でやらなければならない。一人暮らしを始めて、気づいたことがいくつかある。

 

まず、生活にはやりたくないけれどやらなければならないことがたくさんある。掃除や洗濯などの家事はもちろん、買い物やお金の管理、電気、水道の契約や請求書の支払いなど、今まで気にも留めなかった細かいことがたくさんある。家族と住んでいたときは、自分の部屋の掃除と、交代でトイレ掃除、あと洗濯物をたたんだりといった小さな家事を嫌々やっていたが、いざすべて自分でやるとなるとかなり面倒だ。今までほとんど全部やってくれていた親に感謝である。

 

それに、時間というのはかなり限られた資源である。アメリカに住んでいたころは、シニアイヤーになってから少し忙しくなったものの、時間を持て余すことが多かった。それは多分、自分のやらなければならないことや、責任が少なかったからだろう。家事とか生活の面倒なことは大方親がやってくれていたし、受験生という意識もまだ薄かったからあまりまじめに勉強せず、くだらないことで時間をつぶすことがしばしばあった。しかし、一人で住み始めてから、上で言ったようにやりたくない面倒なことに時間を取られ、それに公式に受験生となってたくさん勉強する必要が出てきたため、今のままの生活では1日が24時間では足りないという状況に陥っている。結局、前々からしようと思っていた手続きを後回しにしたり、時間がなくて勉強を断念したり、あとで読もうと思って買った本が時間がなくて山積みのまま放置されていたりする。今一度生活を見直して、有効な時間の使い方をせねば。

 

そしてなりより強く感じたのは、自由は怠惰な生活につながるということである。早く起きろとか、家事を手伝えとか、遊びすぎるなといってくる親がいないことは、解放的でいいことだと思っていた。確かに、親元を離れて自由が増えた。しかし、自由さは意識しないと怠惰さにつながる。実際、俺はもともと6時ごろに起きていたのが今では予備校に間に合うぎりぎりの7時半くらいに起きているようになった。家事も面倒でさぼったり、自炊がめんどくさくてコンビニで済ませたりと、自律のない生活を送っている。金遣いも少々荒くなり、毎週のように遊びに行ったりしている。このようにあまりの自由で、生活リズムが乱れてきている。明らかな自己管理能力の欠如である。結局怠惰さから無駄が増え、時間がとられ、本当の意味で自由でなくなっている。自分が時間をコントロールするのではなく、時間に自分がコントロールされてしまっているのだ。

 

受験生はしょせん勉強しかしないから結構自由時間ができるだろう、といった甘い考えを日本に帰ってくるまで持っていて、余った時間は読書や運動、プログラミングといった趣味とか新しい分野の開拓、勉強にささげようと思っていた。しかし実際には全然時間がない。今の俺の一日は、朝ぎりぎりに起きて、予備校に行って、寮に帰ってきて友達と飯を食って話して、自室に戻って少し勉強をしてもう遅いから寝る、という自律のない生活になっている。予備校は友達がたくさんいてとても楽しいのだが、個人的な自由な時間が取れておらず、俺の理想とする生活とは程遠いものになっている。

 

今まで自分を管理してくれた親には改めて感謝するとともに、自分の生活を見直して、もっと規則正しく、無駄のない生活を送りたい。そうして本当の自由を手に入れ、自分の趣味の追求とか、読書とか、プログラミングの勉強とか意味のあることに時間を費やしたい。具体的な目標としては、ひとまず近いうちに6時起床、11時就寝、定期的に運動、毎日読書のリズムを確立し、家事は後回しにせず必要な時にすぐすませるという意識を持ちたい。