続・数学に振られた話

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俺が「数学に振られた話」という記事を書いたのは、もう3か月も前になる。俺はその時、東北大模試の場で俺の恋人、数学に振られ、大きな挫折を経験した。そしてその時俺は、初心に帰って数学に打ち込み、復縁を目指すことを誓った。


3か月の時を経て、俺は成長したのだろうか。誰にも負けない数学力を手に入れて、再び数学との絆を結ぶことはできたのだろうか。俺はそれを証明する意気で、東大模試に臨んだ。


東大数学は6問を2時間半で解く。帰国生の場合はそのうち4問を選択で解く。問題のレベルはかなり高いが、数学を深く理解すれば十分解けるはずである。まず第一問目は、数列の和の極限の計算問題で、なかなか面白い問題だった。正しい答えにたどり着き、途中もおそらく正しく論述できたので、その問題はほぼ満点だったと思う。

一問目を30分ほどで解き、お、これは余裕か?と思い始めた。ここで俺の実力を示すことができれば、数学の女神も俺のことをふたたび認めてくれるだろう。そして俺は数学と再び結ばれ、残り3か月の受験生活をリア充として過ごすことができるのだ。さて、残りの問題を軽く片付けてやろうとページをめくった。


その先に待ち受けていたのは、数学の女神が仕組んだ巧妙な罠。俺はまだ到底数学に見合う男ではないというように、踏みつけられ、嘲られ、罵られ、弄ばれた。


全く歯が立たなかった。残りの5問中、完答できたのは0。うち3問は半分解けたが、2問は全くの空欄もしくはすべて不正解。東北大模試は結局4割どまりだったが、今回はさらに酷く、合計で3割にも満たなかった気がする。

数学だけではない。国語も限りなく0点に近いだろうし(まあ帰国の理系は国語がいらないので全く勉強しなかったし、する必要もない)、自信があった物理化学も、数学ほどではないものの、ミスと空欄が目立った。唯一の救いは英語ができたくらいだが、帰国生入試の試験科目に英語はないから意味がない。


数学に打ち込むことを誓ったあの日以来、俺は何をしてきたのだろうか。いや、何をしてこなかったかと言う方が正しい。俺は、何もしてこなかった。大して勉強もせず、関係のないことばっかりやっていた。それもプログラミングや読書などの生産的なことではなく、多くの時間をゲームなどの非生産的なものに浪費してきた。ちょっと前まではCall of Dutyを友達とやってたし、昨日もパズドラをやった。そうそう、先週パズドラを始めたんだよ。始めて2日でランク130まで行った。パズドラは楽しいね。


ふざけている場合ではない。なぜ俺は、何もしてこなかったのか。なぜか。原因は何か。それは、一つの単語ですべて表される。「傲慢」。圧倒的な傲慢。視野の偏狭な、中身を伴わない傲慢。東北大模試以降、初心にも帰らず、謙虚にもならず、心を何も入れ替えずに、傲慢で押し通してきた。

傲慢の原因は何か。もちろん、今まで身の回りの人に勉強で負けたことがないというのとか、テストの点数がいいとか、そういうことは昔からあるが、東北大模試以降にもさまざまな傲慢の原因はあった。


東北大模試自体が傲慢の一つの原因となっているのは確かだ。数学で死んだと思っていたが、実はそれでも偏差値65あり、思ったよりずっと良かった。ほかの教科もかなり出来がよく、物理なんかは1位で偏差値78だった。多くの優秀な一般生が受験する中で、帰国生でありながらトップクラスの成績を収め、余裕のA判定を勝ち取ったことは、正直かなりうれしかった。模試の結果は最高だったものの、その後の俺の態度はしかし最悪だった。

「俺、大して勉強してないのに東北大模試めっちゃよかった~受験とか余裕じゃね?わんちゃん東大一般で受けようかなwww」

俺はこのときの俺に、「勝って兜の緒を締めよ」ということわざを送りたい。


東北大模試以外にも、早慶に受かり、ほかにもさまざまなことがあった。しかしこのようなことは、自信につなげるべきであり、あえて気を引き締めてさらに勉強に励むべきだ。俺の場合は自信が過剰になって傲慢となり、勉強しなくても点数が取れるという誤った方向の自信を持つようになってしまった。そしてその傲慢の原因となっているものは表面的で範囲の狭いものであり、本当の実力は伴っていない。その結果が、今回の東大模試の散々な出来である。

俺は今までの俺にさらに、「井の中の蛙大海を知らず」ということわざを送りたい。


前回、東北大模試で数学に振られたときも、同じようなことを言っていたが、今回は訳が違う。前回はまだ8月ということもあり、本命の東大の受験はまだまだ先という時期で、失敗が十分許される状況だった。それを、「まだ8月だから、今できなくてもこれから勉強すれば力はつく」ととらえるべきのところを、おれは「受験まだまだじゃん、あとでやってもどうせできるっしょ~遊ぼwww」ととらえて、傲慢なままでいた。しかし今は11月。あと3か月で試験だ。もうふざけている余裕はない。今まで散々東大余裕と言いふらしておいて、最後の最後で落ちるというのは、目も当てられないほどダサい。もう後戻りはできないから、これから本当にまじでリアルに勉強にまじめに取り組みたい。


中3の春、俺は数学に一目ぼれした。以来数学とは非常にいい関係であったが、東北大模試でその縁は一時停止した。しかし、その後俺は一日として数学のことを忘れたことはない。「深淵なる数学の森の冒険」シリーズで、三項係数について考察していたときに、俺は数学の神秘を見た気がした。

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数学は美しい。いつまでもその美しさに触れていたい。しかし今の俺にその資格はない。根本的な改革が必要だ。

勉強しよ。

Q.E.D.