俺の彼女は数学

今日は俺の数学に対するとめどない愛について語る。

 

俺が数学に出会ったのは中3の春。部活の友達が、この方程式を解いてみろと挑戦してきた。

\[ 2x^2 - 15x + 27 = 0 \]

確かこんなのだったと思う。その時はまだ二次方程式の解き方は習っていなかったので、自分で解こうと思ったけど歯が立たなかった。悔しかったので家に帰ってからネットで解き方を調べた。

 

その時に、俺は運命の人に出会った。

 

二次方程式の解法に感動したのだ。知っているコンセプトを組み合わせて知らない問題を解く。穴のない論理で真理を突き詰める。こんな数学の素晴らしさ、美しさにとりこになってしまった。今まで俺にとって数学はただの学校の教科で、公式を覚えて間違えないように計算してテストで点を取る程度のものでしかなかった。しかし、数学の神髄に触れてしまった時、俺は夜も眠れないほど興奮してしまった。

 

その夏、俺は中学数学をすべて予習した。物足りなかったので、図書館に行って高校数学の本を借り独学した。中学を卒業するころには微分積分を含め高校数学の基本的な概念はすべて理解していたし、試しにセンター試験の数学を受けてみたら9割取れた。

 

 高校に入った後も数学の本を読み漁ったり、難問に挑戦したりして、数学への愛を深めていった。新しい概念を学ぶたび、数学の論理性、対称性、シンプルさ、美しさに魅了されていった。

 

 アメリカに引っ越した後は、数学が助けてくれた。英語が全く分からない中、唯一理解できた授業は数学だった。俺はいつもワークシートを最初に終わらせる生徒だったし、いつも正解していたので、他の生徒が質問してくるようになった。数学を英語で説明する中で、英語力を磨いていった。そういう交流の中で友達もできた。

 

 州の数学オリンピックに出場した時は、個人で12位入賞することができた。しかしその後、州代表チームの一員として全国レベルの数学の大会に出たときは、世界との圧倒的なレベルの差に悔しい思いをした。しかしそれは数学へのやる気を高めてくれた。

 

このように数学は俺の今までの人生においてとても重要なものであったし、これからもそうであるだろう。

 

これが俺が数学と恋に落ちたストーリーだ。

 

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深淵なる数学の世界へようこそ

 

ここで数学の素晴らしい概念をいくつか紹介しよう。

 

「世界一美しい数式」というのを知っているだろうか。一昔前に「博士の愛した数式」という本で一般にも少し有名になったらしい。それは

\[e^{iπ} + 1 = 0\]

という式だ。数学において非常に重要な5つの数が奏でるハーモニーがこの一つの式に凝縮されているのだ。

 

\(e\)は自然対数の底で、ネイピア数、オイラー数とも呼ばれる。関数\(e^x\)は微分しても変わらないという性質を持ち、自然のいたるところに現れ応用も幅広い重要な定数だ。

 

\(i\)は虚数単位、2乗して-1になる数だ。虚数なんてナンセンス、存在しない架空の数だと思ってはいけない。Real number(実数)と同じくらいrealな数である。虚数の導入によってあらゆる2次方程式を解くことが可能になったし、工学などにおいても応用されている。素数のカギを握る未解決問題・リーマン仮説は複素関数(虚数を扱う関数)についての理論だし、微小世界を記述する量子力学で最も重要なシュレーディンガー方程式にも虚数単位\(i\)が現れる。

 

おなじみ\(\pi\)は円周率だ。幾何学において必要不可欠であるのはもちろん、三角関数と重要な関係があり物理、工学においても用いられる。さらに、自然数の逆数の二乗の和(バーゼル問題)は、\(\frac{\pi^2}{6}\)であることがわかっている。\(\pi\)は数学のいたるところに現れる最も重要な定数だ。

 

そして、1。最初の自然数であり、乗法の単位元である。おそらく人類が最初に発見した数だろう。

 

 そしてこれらの数字が、等号によって0と結ばれる。0。最もパワフルかつデリケートな数。どんなに大きい数も、0で掛ければ0になってしまう、どんな数も飲み込んでしまう力を持つ。それでいて、0を足すことは何の影響もない。どんな数字に0を足しても、その数字のまま変わらない。こんな二面性を持つ最も個性的な数、0。これら5つの重要な数学定数がシンプルな式で結ばれている。これが美しくないのなら、何が美しいというのだろう。TWICEとか乃木坂に入ったら一発でセンター確定レベルである。

 

おっと失礼、また時間を忘れて話続けてしまった。数学について語るといつも周りが見えなくなってしまうのだ。さて俺は、数学の研究に戻るとする。今夜もまた新しい方程式が俺を待っている。